培養士コラム

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胚や精子のスペシャリストとして不妊治療で知っておくべき事や最新の知見などわかりやすくお伝えします。

第3回 卵子の成熟と受精卵の発育について

こんにちは。趣味は筋肉を育てること、培養士の川島です。

コロナウィルスの猛攻が続いておりますが、皆さん体調管理は万全でしょうか。

 

第3回胚培養士コラムのお時間です。

今回は卵子の成熟と受精卵の発育について

 

前半で卵子の成熟について

後半では受精卵の発育について解説していきます。

 

 

卵子の成熟とは

女性のお腹の中では卵胞という卵子の袋があります。この中で未熟な卵子がホルモンなどによって成熟していき、精子と受精します。

 

成熟には形態的な変化と視覚では分からない中身の変化があります。

 

採卵でとれる卵子は成熟度により、形態的に大きく3つに分類できます。未熟な状態であるGV期(第一減数分裂前期:卵核胞という核が卵子内に確認できる状態)とMⅠ期(第一減数分裂中期:卵核胞が消えた状態)、そして、成熟した状態であるMⅡ期(第二減数分裂中期:極体という余分な染色体が入った細胞片を排出した状態)です。

 

では、目に見えない部分はどのように成熟していくのでしょうか。

LHサージが起こると脳から卵胞そして卵子に信号が伝わり、減数分裂が始まります。生物の授業などでご存知の方もいるかもしれませんが、卵子は減数分裂によって余分な染色体を極体として外に放出することで減数し、正常な精子と同じ23本になります(上のMⅡ期にあたります)。

減数分裂がしっかり行われないと、いくら精子がいても受精ができません(ここが重要です)。なので、採卵時にはお薬によって受精可能な状態までもっていくことになります。

受精卵の発育について

では次に、卵が取れた後の発育過程について説明していきます。

採卵で取れた成熟卵をcIVF(振りかけ法)やICSI(顕微授精)によって精子と受精させます。その日を培養0日目として、最大6日目まで受精卵(胚)を培養します。

 

培養1日目

正常に受精していれば雌雄前核(pronuclearが2つ:2PN)という、精子、卵子それぞれに由来する2つの核が出現します。また、極体も更に1つ放出されて2つになります。

培養2~4日目

胚が分割し、分割胚、それから分割した割球同士がくっつきあった桑実胚といわれる状態に発育が進んできます。およそ、2日目が2~4細胞、3日目が6~8細胞と進んでいきます。

分割胚の評価にはVeeck分類という評価方法を用いるのが一般的です。

細胞の形態と分割時に見られるフラグメントという細胞の断片比によってGrade1~5まで評価します。

Grade1…細胞の形態が均等でフラグメンテーションを認めない胚

Grade2…細胞の形態が均等でわずかにフラグメンテーションを認める胚

Grade3…細胞の形態が不均等な胚。または少量のフラグメンテーションを認める胚

Grade4…細胞の形態が均等or不均等でかなりのフラグメンテーションを認める胚

Grade5…細胞をほとんど認めずフラグメンテーションが著しい胚

当院ではVeeck分類に加えて、Istanbul Consensusという国際指標をもとに胚の発育速度も加味して評価を行っています。

 

・Veeck分類

 

培養5~6日目

桑実胚内部に空間ができて胚盤胞という状態になります。胚盤胞は収縮と拡張を繰り返しながら大きくなっていき、過程で胎盤になる栄養外胚葉(TE)と赤ちゃんになる内部細胞塊(ICM)ができてきます。さらに拡張が進むと、透明帯に亀裂が入り、そこから胚盤胞が脱出してきます。この透明帯から胚盤胞が脱出する現象をハッチングと言い、これを経て完全に透明帯から脱出した胚盤胞が子宮内膜に着床していきます。

胚盤胞はGardner分類というこちらも広く使用されている評価法を用いて評価します。

胚盤胞の腔の大きさ、ICM 、TEの3項目を数字とアルファベットで評価します。

[腔の大きさ]

1:初期胚盤胞(胚盤胞腔が全体の1/2以下)

2:胚盤胞(胚盤胞腔が全体の1/2以上)

3:完全胚盤胞(全体に胚盤胞腔が広がった状態)

4:拡張胚盤胞(胚盤胞腔容積がさらに拡張し、透明帯が薄くなりつつある)

5:孵化中胚盤胞(TEが透明帯の外に脱出し始めている)

6:孵化後胚盤胞(胚が完全に透明帯から脱出したもの)

[ICM]

A:細胞同士が密に接し、細胞数が多い

B:細胞同士の密着が粗で、細胞数が少ない

C:細胞数が非常に少ない

[TE]

A:細胞数が多く互いに接着した上皮を形成している

B:細胞数が少なく、結合が粗な上皮を形成している

C:数が少ない、大きな細胞が上皮を形成している

これらを上から順に組み合わせて、4AAとか5BAという風に評価します。

 

・Gardner分類

 

 

最後に

基本的に培養5日目、6日目の胚盤胞で、妊娠の可能性があるものを液体窒素中で凍結保存します。凍結中は胚の時間が止まっているため、その間に内膜を着床できるよう十分に整えます。移植当日は凍結した胚を融解して、着床の準備ができた子宮内膜に移植を行います。

ARTにおける集大成といっても過言ではないでしょう。

凍結に関してはまた今後のコラムで分かりやすく説明していきますので、お待ちください。

 

今回のコラムはいかかでしたか?難しいところもありましたが、何か少しでも皆さんの疑問を解消できましたでしょうか。  

 

それでは、次回のコラムか、はたまたもっと先のコラムになるか分かりませんがまたお会いしましょう!

 

培養部 川島

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